かつてマグマの海の流浪賢者が所有していた古い冠。
じっと見てみると烈火からまっすぐ立つ面影が見えるらしい。
流浪する賢者は高温に耐えるように、赤いメノウを使ってこの冠を作った。
知恵と灼熱の執念によって防火の冠ができた。だがこれは同僚と先輩の恐怖と嫉妬を引き寄せた。
「この傲慢な若造、岩漿の怒焔に挑むとは、この100年になかった冒涜だ」
「火の海は必ず彼を呑み尽くす。彼の灰燼も熱い波によって空まで吹き飛ばされ、やがて虚無と化す」
嫉妬深い先生は彼の生徒に嫌がらせのため、冠をかぶって火の海を歩いてもらおうとした。
だが、この冠の持ち主は悠々とマグマの上を歩き、皆の視線から消えた。