ジンニーだけが歌う過去、オアシスの女主人は赤砂の王と出会った。
諸王が殺し合う残酷な歳月の中、キングデシェレトは他の二人と王権を共有することを決めた。
ジンニーたちはエメラルドとルビーが嵌められた孔雀の玉座を捧げ、友情篤い三人が契約を結んだことを祝った。
永遠のオアシスの楽園のため、咲き誇るパティサラのため、花の女主人はアメジストの王冠を戴いた。
「けれど、『永遠』なんて所詮虚言よ。ほろ酔いと歓愛は記憶をすり減らして、またそれを支離破裂な寝言へと変える。」
「なぜ常にため息を吐いているのかと聞いてくれたわね。今夜は明るい月夜だし、昔のことでもゆっくり教えてあげる…」
「それはかつての、平和だった遥か昔の時代。多くの使者は凡人と交流し、天空からの言葉を伝えていた…」
「けれどその後、侵入者は天空の外から来て、数えきれないほど多くを破壊した。川も海もひっくり返って、疫病が横行して…」
「外から来た者たちは私の血族に戦争をもたらし、大地の枷をも破る妄想をもたらした…」
「天の主は妄想と突破を恐れ、大地を補う天の釘を落とし、凡人の国を滅ぼした…」
「私たちもそれぞれ追放という災いを身に受け、天空との連絡は途絶え、教化する力を失ってしまった…」
「私は災難に遭ってここに来たのよ。二度と天空を振り返って望むことはできない過酷な呪いをかけられて久しいけれど、そのおかげで、この姿のまま生きてこられた…」
「でも、故郷はいつまでも私を呼んでいるの。たとえ星空と深淵の災難が水晶に浮かび上がったとしても。」
「私の警告を肝に銘じて。四つの影の持ち主を追ってはならない。天空と深淵の秘密を覗いてはならない。」
「さもなければ、断罪の釘が示したように、次々と災難や苦痛がやってくる結末が訪れるだけ。」
しかし、赤き君主は仲間の警告には賛同せず、胸の内に僭越な願望を抱いた。
月明かりの下で伴侶の涙を拭った彼は、自らの欲求を花の魔神に打ち明けた…